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トコトン!

何でもトコトン。今はトコトン着物!

夜きもの

 

着物に興味を持ち始めた頃、和裁を始めた頃は、完全にきもの生活をしたいと思っていた。

その後、曲りなりにもなんとか格好がつくくらいに着物を着られるようになってみると、家の中を着物で過ごすことの不便を強く感じるようになった。

 

まずは、汚れやすい。何がって、袂ね。なんであんなに大きなものをぶら下げたデザインなんでしょう、着物って。訪問着とか振袖とか、そういったよそ行きだけでいいじゃんね。お家では作務衣みたいに筒袖の着物でいいじゃない。それが自然で快適な着物の進化というものではないか。大きな袂はドアノブにもよく引っかかるしね。

 

しかし作務衣は作務衣で。着物はやっぱりおうち着の木綿の着物でも形変わらず、袂は50センチくらいぶらぶらしているわけで。これだと顔も洗えないし、炊事も出来ないよ。テレビで見るように、タスキでからげてシワくちゃにしないといけないなんて非実用的。

 

次に、膝が開かない。しゃがみ込むという動作はほぼ正座に取って代わってしまう。これはかなり窮屈だ。お風呂掃除なんかは裾をからげて、時代劇の飛脚みたいな格好にまでたくし上げないと出来やしない。小股でしか歩けないので、急いで移動したいときには猛スピードで歩数を稼がなきゃいけないし。

 

更に、着脱が面倒。一旦着たら、背中を掻くのは孫の手でも出来るけどお腹掻くのはほぼ無理よ。横になるにも半幅帯でも帯は邪魔になるし。こうしてみると、わずか100年程の内に着物が駆逐された理由がよく分かる。

 

そんな風に何かと不便な着物だけれど、夜が更けるとなぜか無性に着物が着たくなる。ガウンを羽織るように、身につけている服はそのままで、重ねて着物を着付けて半幅帯を結んで、背筋をシャキッと伸ばして眠くなるまでの小一時間。衿からはタートルネックが見えてて変だけど、誰も見てないし。

 

静かにひっそりと着物生活を楽しむのが、ここ最近の私の密かな楽しみなのだ。